花巻観光、休憩タイムはヨーグルトで。『ミルク工房 ボン・ディア』

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花巻で人気の、無添加濃厚ヨーグルト。

花巻では各所の観光地を巡るために、多くのバスツアーが企画されている。
往路で郷土料理やワイン、伝統文化を楽しんだあと、帰り道の寄り道スポットとしてよくピックアップされるのが、
JAグリーンサービス花巻が運営する『ミルク工房 ボン・ディア』だ。この工房では工場も併設されており、
早池峰山麓でとれる牛乳を加工して無添加のヨーグルト、飲むヨーグルト、ソフトクリームなどを製造・販売している。
肥沃な土地で育った生乳の濃厚さをダイレクトに感じられる風味が人気を集めており、その販路は現地の直売所だけでなく、関東にも拡大中だ。
そんなミルク工房ボン・ディアが歩んできた歴史や、製造のこだわりについて、スタッフの藤原守さんにお話を伺った。

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飲むヨーグルトの普及に、走り続けた20年。

ミルク工房 ボン・ディアが創設されたのは、今から20年ほど前のこと。
ひとびとが気軽に声を掛けあえる温かさを大切にしたいという願いから、工房はポルトガル語で「こんにちは」という意味の「ボン・ディア」と名付けられた。
お店の隣には、飲むヨーグルトのパッケージとおなじデザインがあしらわれた大きなタンクが目を引く。
「花巻には酪農農家も多くいます。酪農家たちに先駆けて、牛乳を使って新しい食品を作ってみないかという話になったとか。
そこで先代が、これからはヨーグルトのブームがくると踏んで、ヨーグルトおよび飲むヨーグルトの加工製造に着手したと聞いています」藤原さんは工房の歴史を振り返る。
飲むヨーグルトに関しては、今は720mlを390円で販売しているが、当初は600円の価格設定だったという。
そんな高い値段では売れるはずがない、と地域の人々からの意見も多かったようだ。
ヨーグルトを「飲む」という習慣がまだ浸透していなかった販売当時、反対の声があがるのは無理もない。
しかし工房側は、多少の価格調整はしたものの、質の高い「飲むヨーグルト」の販促を諦めなかった。
「関東方面にもコツコツ地道に売り込みをして、その過程でより多くの人の口に合うよう、何度も味の改良をしてきました。
だから今うちがつくるヨーグルトは、いわゆる『継承してきた伝統の味』じゃない。だけど、ボン・ディア史上いちばん美味しい味なんです。」

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株式会社 JAグリーンサービス花巻 ハヤチネフーズ事業本部|藤原 守 様

自然な製法で、乳酸菌の力を引き出す。

この工房の商品に使われる生乳は、味に特徴のあるブラウンスイス種のもの。
導入当初は14,5軒の酪農家がこの品種を扱っていたそうだが、
現在、花巻市内で飼育している酪農家はわずか4軒だという。
「大迫町でも貴重なブラウンスイス種は、大迫の特産としての価値も高いです。
水や土壌に恵まれた花巻の自然環境のなか、じっくり大切に育てています。」と藤原さん。
豊かな環境で育てられた大迫産ブラウンスイス種の生乳は、それぞれの商品にまろやかなコクを与える。
飲むヨーグルトと聞くと「薄めたヨーグルト」というイメージを浮かべる人もいるだろう。
しかしこの工房の飲むヨーグルトは、きちんと「ヨーグルトを飲んでいる」という感覚を味わわせてくれる。
甘さ控えめで、濃厚だが、後味はすっきり。この「そのまま」感にハマって、リピート購入してくれる人も多いのだとか。
「生乳に乳酸菌を直接入れていて、水は一切使っていません。水に頼っていないので、乳酸菌の力だけで発酵されているというのが、他のメーカーとは違うこだわりのポイントじゃないでしょうか。
もちろん加工には、卵も使っていないんですよ。」ヨーグルトづくりのこだわりについて、丁寧に説明してくれた。
人の手を加えすぎず、自然の力にまかせてつくるヨーグルト。
乳業メーカーの多い岩手県だが、お客さんからは「やっぱり早池峰がおいしい」「このヨーグルトを知ってからは他の商品は食べていない」といった喜びの声を多くもらうという。
「うちは農協関係の会社なので、産地直送の商品として他の県に売りにいくことも多いんですけど、ありがたいくらいおいしいと言ってくれます。」と、嬉しそうに話す藤原さん。
岩手県ではヨーグルトをジッパー付きのビニールに詰めて販売することが多く、地域の人々が1kg、2kgの容量を買っていくことも珍しくないのだとか。日常的にヨーグルトを食べるという人々の習慣も、酪農家のこだわりから生まれたものに違いない。

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秋は、花巻で産直めぐりを。

花巻の、伝統文化を守るのにすごく一生懸命なところが好きだという藤原さん。
農産業の担い手は減少しているとはいえ、伝統継承や地域活性のために奮闘する若者も多いという。
ひとびとが一丸となって取り組む、花巻の活性化。「花巻らしさ」を象徴する場所として、ミルク工房ボン・ディアの今後の活躍に期待したい。
工房で販売しているヨーグルトやストレートジュースは、オンラインショップでも購入可能。
また東京でも産地直送品を扱うセレクトショップや、岩手のアンテナショップで販売されることもあるという。
「花巻では、秋になると各地に直売所ができます。一本の道でたくさんの産直品をめぐることができるので産直街道と言われているんですよ。」と藤原さん。
アンテナショップやオンラインでの購入も便利だが、こうした特産品めぐりが楽しめるのは花巻ならでは。今年の秋の旅行プランに、ぜひ取り入れてみてほしい。