手軽な食事も、地産地消で。東和名物の醤油たこ焼き「松葉商店」

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たこ焼きに醤油?東和町民に愛されるソウルフード。

わざわざ旅行に訪れた地で、どこででも食べられる料理を食べるのはナンセンスだ、という考えの人は少なくないはずだ。たとえば全国チェーンのお店や、インスタントものは、できるだけ避けたいもの。
だがしかし、ここ花巻には、ぜひ食べてもらいたい「どこででも食べられる料理」がある。
それが、花巻市東和町の商店街の一角にあるたこ焼き屋、松葉商店だ。
JR釜石線の線路沿いにさまざまなお店が連なる東和町の商店街。松葉商店はそこに、50年前から店を構える老舗の軽食店だ。このお店の看板メニューであり、また東和町の名物である「醤油たこ焼き」は、東和町の住民であれば知らない人はいないというほどの知名度を誇る人気商品だ。
マヨネーズにソースが基本のたこ焼きとはひとあじ違う、仕上げに醤油を使ったたこ焼きだ。地元の人々はもちろん、県外からもこのたこ焼きを目当てに訪れる人は多い。東和町の住民に「たこ焼きは醤油で食べるもの」というイメージを定着させてしまうほどに長く愛されている、松葉商店の醤油たこ焼き。
その歴史やこだわりについて、タコを模したニット帽がトレードマークの店長、松葉孝博さんにお話を伺った。

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大阪のお店にヒントを得た醤油味。

松葉商店の歴史のはじまりは、1949年。
松葉さんの祖父を1代目に、アイスキャンデーや南部せんべいを売るお店として看板を上げたそうだ。
たこ焼きの販売がはじまったのは、松葉さんの父がお店を引き継いだ1965年から。
父が大阪を訪れた際、大阪名物でもあるたこ焼きの人気を目にして、これを岩手に持って帰ろうと決めたのだとか。
「父が大阪で食べたたこ焼きのお店が醤油を使っていた。それがきっかけだそうです」と松葉さん。
ソースか醤油か、味付けを選べと店主に言われ、松葉さんの父の口には醤油味がよりおいしく感じた。
そのため、岩手ではじめたたこ焼きは醤油味のみになったのだという。その流れを受け継いで、いま現在、お店にソースは置いていない。こうして、現在ではすっかり地元のたこ焼き屋さんとして親しまれている松葉商店。
定番商品のたこ焼きは、一見するとソースなどはなにもかかっていない。なにもない代わりに、生地に出し汁を含ませ、焼き上げた後に刷毛で醤油をたっぷり塗っているのだ。1パックに12個入という量でもパクパクと食べきってしまえるほど、あっさりとした味わいが特長だという。
定番メニューのほかに「マヨのせたこ焼き」も2番人気で、醤油とマヨネーズの組み合わせが意外にもおいしいと評判だ。地元のお客さんも多く訪れる松葉商店だが、メディアに取り上げられるなどして最近では県外から訪れるお客さんも多いのだとか。また現在は本店を含め、盛岡店など6店舗を展開しており、支店のたこ焼きを食べてから「ぜひ本家の味も」と、本店に足を運ぶお客さんも増えてきている。
醤油たこ焼きの認知度は、これからどんどん広がっていきそうだ。

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松葉商店株式会社|松葉 孝博 様

収穫も、調理も、味わうのも、おなじ場所で。

「うちのたこ焼きは、いわゆるソースとマヨネーズの味ではなくて、小麦粉を感じられる味に仕上がっています」松葉商店でつくるたこ焼きについて、松葉さんはこう語る。
そう、名物たこ焼きのもうひとつのウリは「地産地消」であるということだ。
小麦粉、キャベツ、すべての食材を岩手県産で揃え、タコは岩手県三陸でとれたものを使っている。
本命の醤油には、以前インタビューでもとりあげた佐々長醸造の醤油を使用。
「父の代は外国から輸入した具材を使っていたそうです。でもそれだと、どこにでもあるたこ焼きといっしょだと思って。特別なたこ焼きってなんだろうと考えたときに、地産地消を思いついたんです。」
松葉さんが地産地消たこ焼きを作るようになったのは今から25年ほど前だった。それまでより少し値段を上げて県産の具材に変更したところ、それがだんだん浸透してきて、メディアにも取り上げられるようになったという。
また、地元の食材を使うことについて、その地域で穫れた食材を、その地域で調理し、その地域で食べてもらうことがいちばんだと、松葉さんは言う。 「花巻で穫れたものを、花巻の水で調理して食べればそれがいちばんおいしい。だから、こここでお店を続けていたいんです。たこ焼きは子供から大人まで、みんな手軽に食べられるもの。そんな料理がさらに美味しく食べられたら最高だなって」
この言葉から、松葉さんのたこ焼きへの愛情を十分に感じることができた。

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小さなお店で、いい商売を。

今後の松葉商店は、花巻にとってどのようなお店になっていくのだろうか。
「起爆剤のような存在でありたいと思います。町がもっと元気になるように、うちみたいな小さなお店でも、こんな風にいいものをつくって頑張れるんだよというところを見せていきたい。」と松葉さん。
松葉さんの話すとおり、これから花巻を盛り上げていこうとする若手の背中を押す存在が、いつまでも松葉商店であってほしい。
松葉商店は、東和町にある本店のほか、花巻市内に2店舗、市外に3店舗の支店を展開している。また本店ではたこ焼きのほか、花巻産の野菜が使用された花巻バーガー、ラーメンなど、メニューのバラエティも豊富だ。
花巻散策の途中で小腹がすいたときには、松葉商店にぜひ寄り道を。