花巻の活性化に奔走する、縁の下の力持ち。「松倉商会」

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花巻の農家の人気者、松倉商会。

花巻市を横断する県道12号。その道沿い、温泉旅館「悠の湯 風の季」の隣で小さな商店を営んでいるのが、今回ご紹介する松倉商会だ。 創業は昭和39年と歴史は50年以上あり、お話を伺った照井さんで3代目になるそう。 照井さんの亡き祖父、父は花巻の卸売市場で青果部組合の理事長の経験もあり、温泉旅館や老人ホームへ、花巻産の青果物を卸すのが会社のメイン事業だ。商店ではアイスクリームや青果物の販売を行っているほか、贈答品の地方発送も。 花巻で農作物を育てる農家と、花巻で商売をおこなうお店との仲介役として、花巻のビジネスに大きく貢献している松倉商会。取引先である農園の方のお話も交えて、松倉商会の歩みや活躍について、照井さんにお話を伺った。

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温泉・農家・お客さんをつなぐ「はなまき朝ごはんプロジェクト」

花巻の農家を商売へとつなぐ松倉商会だが、そのなかでも注目したい活動が「朝ごはんプロジェクト」である。温泉旅館に泊まりに来たひとに、おいしい朝食を食べてもらうというコンセプトで、2013年に始まった活動だ。 各館が季節ごとにテーマを決めて、花巻産のお米と野菜を使った料理を、旅館の朝ごはんとして提供する。花巻で温泉旅館を経営する若者たちが「花巻をもっと好きになってもらえる集客のアイデアを考えるべきだ」と、花巻の現状を見かねて立ち上がったのがきっかけだという。 「夜だとお酒が入って料理のイメージが残らないので、朝ごはんとしておいしい料理を食べてもらって、お客さんの記憶に遺してもらい、また花巻に来てもらおうという」コンセプトでプロジェクトを行っています。20~30人ほどの若手農業者の集まりの「花巻4Hクラブ」や「花巻農業女子」など多くの農家の方に協力していただき、旅館に野菜を提供しています。こうした活動において、温泉旅館と農家との間に立って「野菜を作る」「料理を提供する」以外のことをとりもつのが松倉商会だ。 プロジェクトに参加している阿部農園の阿部さんは「松倉商会さんには、旅館への輸送も肩代わりしてもらっているので、農家としての負担が減ってとても助かっています」と、松倉商会への感謝を述べた。「農業者は農業に専念してほしいから」と笑う照井さん。 朝ごはんプロジェクトでは、朝ごはんの提供のほか、旬の野菜の詰め合わせを通信販売するサービス「はなまき“おかわり”ボックス」も始まっている。全国のどこにいても花巻の野菜を取り寄せられるこのサービス、松倉商会の手腕が存分に発揮されそうだ。

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有限会社松倉商会 様

食べ物は、花巻の顔。笑顔で商売をしたい。

「旅行のとき、やっぱり印象に残るのは現地で食べたものだと思うんです。つまり、この地域の料理が花巻の顔になる。花巻には質の良い食材が揃っているので、お客さんが料理に満足できるようお手伝いができたらと思っています」と、照井さんは語る。 こうした想いのもと、照井さんは、農家の運営に対し深く入り込んでいる。 まずは、配送。取引先に対して、各農家が個々に食材を届けると大変な時間を要するため、それを松倉商会が一手に引き受けているのだ。 そして選別は、農家の行う一連の作業のうち、およそ2割を占める作業だ。穫れた野菜を規格ごとに分けるこの作業も、松倉商会がおこなっている。 取引先である阿部農園の阿部さんは「農家にとってはとてもありがたいことですが、そういうサービスのおかげで松倉さんもどんどん取引エリアが広がってきていて…大変そうだなと」と苦笑いだ。 また、別の記事でも取り上げた「マルカンビル大食堂」にも食材を卸している松倉商会。 お店のスタッフに話を伺ってみると「照井さんはおすすめメニューなどの手書きPOPも書いてくれています。読みやすくて面白いので、スタッフやお客さんからも人気です」とのこと。こうした調子で、年々取引先が増えているそうだ。 松倉商会の活躍は、良質なサービスだけでなく照井さんの「取引先のお客さんに、笑顔で接する」というモットーの成果であるとも言える。 「花巻のいろんなお店が好きです。そのお店のお客さんと、いつも笑顔で話をしたいと思っています。それがお店の人や農家の人、ひいてはお客さんも笑顔にするんじゃないかなと」と照井さん。 商会という仕事はたしかに、表立った仕事ではない。しかし、花巻の食をお客さんの満足につなげるためには、松倉商会も、照井さんも、なくてはならない存在と言えるだろう。

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花巻の魅力を活かした仕事を。

照井さんや、松倉商会との取引がある農園の方々に、花巻の魅力を聞いてみた。 地域性が強く、訪れるひとを暖かく迎え入れてくれる雰囲気があること。源泉がたくさんありいい温泉が多いこと。宮沢賢治をはじめ、花巻出身の著名人たちも農業の経験があるほどに農業が盛んであること。たくさんの魅力が挙げられる。 「こんなふうに花巻はたくさん魅力をもっていて、それをもっと日本に広めるためにこれからも奮闘していきたいです」と、照井さんが笑顔で締めた。 花巻の魅力、それを支えるのが松倉商会の役目。これからどんどん、最強の「縁の下の力持ち」として活躍していってほしい。