本物志向の、特別なひと粒を。 国産のレーズンづくりを先駆ける「佐藤ぶどう園」

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日本ではまだ珍しい、枝つきレーズン。

ぶどうの加工品として、ワインやジュースのほかに、レーズンも必ず挙げられる食品のひとつだろう。 パンやお菓子など、さまざまな料理のアクセントとして人気のレーズンだが、実は、国内での生産量はそれほど多くはなく、消費されるレーズンの大半が海外から輸入したものになる。 そんな日本国内で、自らが栽培したぶどうを加工し、国産レーズンとして販売しているのが、「佐藤ぶどう園」だ。
ぶどうを一房まるごと乾燥させてパッケージした「一房まるごと 太陽の生レーズン」はとても人気のある商品。
乾燥食品と定義できるぎりぎりの値で乾燥させたレーズンは、食感、香り、甘さが、より「本来のぶどう」に近いということから「生レーズン」と名付けられている。
酸味の少ない味わいは、干しぶどう嫌いの人に「これは別物だ」と言わしめるほど。さまざまなコンテストで輝かしい実績を残し、2016年には、復興庁の推薦により伊勢志摩サミットで振る舞われるなど、着実に認知度を高めている。
今回はそんな太陽の生レーズンにフォーカスし、発売までの経緯やレーズンへのこだわりについて、経営者の佐藤さんにお話を伺った。

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コンテストで、試行錯誤の日々が結実。

佐藤ぶどう園は1954年、現在のように果樹栽培が盛んではなかった時期に、佐藤さんの祖父によって創設された。
いわば、花巻におけるぶどう栽培の第一人者だ。
次いで佐藤さんの父親も、まだ小粒の品種が主流だった市場のなか、大粒種である「紅伊豆」の栽培に踏み出し、県の奨励品種として認定を受けるまでにこぎつけた。
親子2代にわたり新しい試みを続けてきた佐藤ぶどう園。
3代目となる佐藤さんの挑戦、それこそが「一房まるごと 太陽の生レーズン」だ。
「収穫したぶどうをジュースにしてみたところとても好評で。ならばレーズンもつくってみようと思って始めたんですが、道のりはスムーズではなかったですね。」と話す佐藤さん。
ぶどう本来の味わいを失わないよう熱風で乾燥させる作業でも、一定の温度では、乾燥の度合いがバラバラになってしまう。
現在は熱風温度や、吹上口からの距離・角度を調整することで均一な乾燥ができているが、それを確立するまでに、2年ほど試行錯誤を重ねたという。
こうして完成した太陽の生レーズンが、その認知度を高めるきっかけとなったのは、2015年に復興庁によって開催された「世界にも通用する究極のお土産」コンテストだ。
東北6県から集まった495品の食品の中から、大手百貨店のバイヤーや社長の審査をくぐり抜け、10位に入賞。
さらに、その評判を耳にした食のセレクトショップ「DEAN&DELUCA」からオファーをもらい、冬ギフトとして販売してもらえることに。
「DEAN&DELUCAさんは、かねてから置いてもらいたいお店だったので、それが実現したのは本当に嬉しかったです。
自分の商品が、プロからどのように評価されるのかを知りたくて応募したコンテストでしたが、行動を起こしてよかったと思いました。」と佐藤さん。
太陽の生レーズンはその後も、料理雑誌『料理王国』が年に1度開催する品評会でも優秀賞を獲得。「花巻の逸品」としての地位をより確かなものにしたのだった。

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佐藤ぶどう園 | 佐藤 徹 様

「ひと枝ひと房」が、贅沢な味わいの秘密。

太陽の生レーズンの原料となる佐藤ぶどう園のぶどうは「ひと枝ひと房」にこだわって育てられている。
枝に成った実のなかから、育ちの良いひと房を選び、それ以外のの実は枝といっしょに切り落とすという育て方だ。
ひとつの実に栄養を巡らせ、太陽光をたっぷりと浴びせることで、ほどよい酸味と甘さが凝縮された、色の濃いぶどうになる。
また、ぶどうを栽培する土にも有機肥料のみを使い、北上川や早池峰の潤沢な水脈など、花巻ならではの環境を活用した土壌づくりを行っているそうだ。
「これまで食べてきたレーズンとぜんぜん違う!と驚かれることが多いんですよ」と、嬉しそうに話す佐藤さん。
「海外から輸入するレーズンは、腐らないためのオイルコーティングや、添加物が入れられたものが多いんです。
一方でうちのレーズンは無添加で、乾燥後も果肉が残った状態なので、単体でもしっかりした味がでるんです。」
“ぶどう感”の強い味だからこそ、料理人の方から、良い意味で扱いづらいと言われることもあるのだとか。
また、レーズンへのこだわりは、パッケージのデザインにも落とし込まれている。
加工までの手間や品質の高さという点を踏まえ、2,000円〜で価格設定をしている太陽の生レーズンだが、売りはじめは辛口の意見が多かったという。
「2012年の展示会に出展したら、『おいしいけど、このパッケージデザインじゃ絶対に売れない』とみんなから言われました。」
展示会でのアドバイスを受け、顧問のデザイナーと一緒にデザインを一新したという佐藤さん。
LED照明による品質への影響も考え、デザインは「中身を見せない」という方向性に決まった。
このアイデアが功を奏し、ラインナップ変更後、商品の売上が格段に上がったのだそうだ。
品質を物語るデザインとはまさにこのことだ。商品を包むパッケージの肌触りと、吸い込まれるような黒さは、気持ちを込めて贈りたい、大切な誰かへの特別を思わせる。

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花巻のブランドを守っていきたい。

「この頃は輸入品のレーズンにも、枝付きのものが出てきました。
この市場で勝っていくには、コンセプトやデザインはもちろん、まずは品質を大切にしなければいけません。
ぶどうの品質を高いまま維持できるように、ぶどう部会というのを立ち上げて、週に1度勉強会を開いています。」ぶどう栽培の今後について、意欲的に語る佐藤さん。
20人前後のメンバーを要するぶどう部会のほか、他県のぶどう生産者といっしょに「東北ぶどう研究会」を設立。
ぶどうの栽培について意見交換をするなど、生産者同士のコミュニティづくりにも積極的だ。
佐藤さんの話を聞いていると、東北の地域を活性化に力を注ぐ若手生産者たちの今後の活躍に、期待せずにはいられない。
太陽の生レーズンほか、佐藤ぶどう園の早摘みぶどうでつくったぶどうジュースは、オンラインショップで購入可能。
時期によっては、佐藤ぶどう園での直売も行っている。
大切な人へ、感謝を伝えたい人へ、とっておきの贈りものにはぜひ、太陽の生レーズンを。