閉店しても、古くなっても、変わらず愛されるみんなのレストラン「マルカンビル大食堂」

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誰もが知る、花巻市民の憩いの場。

2017年2月20日は「マルカンビル大食堂」の復活の日だ。
1973年のオープンから46年、今では花巻でその名を知らない人はいないといわれるほど愛されてきたレストラン、マルカンビル大食堂。2016年6月、耐震性や老朽化の問題で惜しまれつつも閉店となったが、その半年後、花巻の人々の熱意を受け取った花巻家守舎が現在の運営会社、(株)上町家守舎を立ち上げ、見事に復活を遂げた。
オープン当時は花巻でいちばんの高さを誇っていたマルカンビル。マルカンビル大食堂は、その地上6階に位置している。花巻の町並みを一望しながら食事ができるというのが醍醐味で、週末は家族連れのお客さんで賑わい、平日は大人たちの社交の場となっている。人気メニューである「10段ソフト」や「ナポリかつ」を目当てに、市外、県外から足を運ぶお客さんも少なくない。オープンから閉店、そして復帰までの道のりや、ひとびとに愛される理由について、レストラン事業部長の菊池さんにお話を伺った。

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閉店から、待望の再オープンへ。

マルカン百貨店がオープンしたのは、1973年のこと。
マルカンビル大食堂も当時「マルカン大食堂」という名前で6Fにて開店。眺めの良さや豊富なメニューがひとびとの口コミを集め、マルカンビルの6Fはいつもたくさんの人で溢れていた。
しかし、人気は変わらずとも、建物がどうしても古くなってしまう。2011年に起きた東日本大震災はなんとか耐え抜いたものの、ビルの老朽化は進む一方だった。
「古くなっているのは建物だけではなく、内装や冷房などの設備も劣化が進んでいました。それらをすべて修繕するには膨大な費用がかかってしまし、経営負担が大きいとのことで、ビル全体が閉店という形になったんです。」と、菊池さんは当時を振り返る。
ビル閉店後も食堂の復活を願う声は多く、そんなひとびとの願いを受けて立ち上がったのが、現在の食堂の代表を務める、上町家守舎の小友康広社長だ。建物のリノベーションという目的のもとにビルの経営権を借りる形で、クラウドファンディングなどで資金調達をおこない、マルカンビルおよびマルカンビル大食堂のリニューアルオープンにまでこぎつけたのだった。
花巻の誰もが愛した食堂の復活。当時のひとびとの喜びは計り知れない。
リニューアル後も、天井の高さや間取りなど、内装は極力昔のまま引き継ぎ、従業員も「マルカン大食堂」時代のスタッフを再雇用したという。また小友社長の考えで、料理に使う食材や、店内の設備に必要なものも、できるだけ花巻の農家や業者から取り寄せているのだとか。

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上町家守舎|菊池 英樹 様

わたしたちが、花巻の印象を左右する。

マルカンビル大食堂に訪れたら、まずはメニューに注目いただきたい。
現在、お店で用意されているメニューはなんと約130種類。
「いつも新しいメニューを模索していて、追加や変更を繰り返しながら、常に130種類前後というバリエーションを保っています」と教えてくれた菊池さん。
なかでもお店の人気メニューは、マルカンラーメン、ナポリかつ、そして特にイチオシなのが、コーンの上でぐるぐると10段巻かれたソフトクリーム「10段ソフト」だ。
なんといっても10段というインパクトのある見た目と、量を食べてももたれないような、さっぱりとした味わいが人気を集めている。
「当初は一般的なソフトクリームだったそうです。それをマルカン百貨店時代の先代の社長が、お客さんのためにもっと大きくしてやりなさい、ということで巻く数がどんどん増えていったと聞いています」十段巻きにはやはり技術が必要で、それができる従業員はいま数人しかいないという。「わたしもいま修行中です」と菊池さんは笑った。
また、お店の経営において大切にしているのは、社員全員が同じ方向を向くことだと、菊池さんは言う。
マルカンビル大食堂の社員は、掃除係や事務なども含めて50人以上。
全員が同じ思いを共有するのは簡単なことではない。
「たとえば、県外からのお客さんは、このお店にすごく期待すると思うんです。そして、マルカンビル大食堂の評価になります。つまり、店員の動きや接客の態度がお店の価値を決める。そのことを、従業員は常に意識すべきだと考えています。」
人気に奢らず、誰にとっても良い店であろうという意識の高さこそ、マルカンビル大食堂が多くのひとびとに長く愛される所以ではないだろうか。

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変わらず愛される食堂へ。

現在は、お店が関連したグッズの企画開発や、人気メニューのお弁当販売など、レストラン業以外のチャレンジにも積極的なマルカンビル大食堂。地域に根ざした活動で、さらにブランド化が進みそうだ。
「県外から帰省されるひとたちが、家族や友人とここにきて『変わらないね』といってくれるのがとても嬉しい」と菊池さんは語る。「祖父母と親子の3世代でいらっしゃって、子供の笑い声や家族で楽しそうにしている光景を見ると、これからも変わらずこのお店でやっていきたいと感じますね」
地元への愛着というのは、ほっとひと息つける場所からも生まれるものだ。
いつも変わらずそこにあり、行けば「やっぱりここだ」と安らげる。
花巻のひとびとにとって、マルカンビル大食堂がいつまでもそんな場所であってほしい。